「サイのものがたり」は、白川静先生が説かれた文字学の思想をもとにした絵本のタイトルです。
後漢の「説文解字」では、「口」は「口耳(こうじ)」の口、つまり「人の口」と説明されています。
しかし、その解釈では行き詰まってしまいます。
白川静先生は、「口(サイ)」を「祝詞(のりと)を納める器」と導き出されました。
つまり、「口」は人と神を「祈り」によって結びつけるための装置なのです。
この視点によって、「口」の形を含むさまざまな文字の成り立ちが新たに読み解けるようになります。
この絵本は、その考えを視覚的にわかりやすく示しており、大人にも深い学びを与えてくれる一冊だと感じました。
